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かつては、国債を買っておくだけで予定利率が払えたかもしれない。 そのうえ、土地も株も値上がりしたから、生保の経営は楽であった。

ALMを考える必要はなく、加入者を増やすことが生保の経営努力のすべてであった。 つまり、生保はもともと、ALMを無視してリスクの大きいことをやっていたのである。
描いたシナリオが実現しない限り、生保の経営は必然的に破綻するのだ。 将来にわたって金利は一定の水準より下がらないというシナリオである。
たまたま「右肩上がり」の間は、シナリオ通り土地、株の値上がり益が得られたから、ALMのミスマッチが顕在化しなかったに過ぎない。 もし、30年、40年の満期の国債があったとすれば、それを買うことで、期間のミスマッチ90年代に入って事態は一変して、生保にALMがなかったことが露呈した。
「右肩上がり」の時代が終わったから生保の経営が苦しくなった、というような言い方をすることは正しくない。 「右肩上がり」というのは、未来に関する一つのシナリオである。
シナリオを描いて、それに沿って行動すること自体は決して悪いことではない。 シナリオ通りに未来が進展すれば、大きい利益を得る。
しかし、シナリオが外れたら、痛い目に遭うかもしれない。 この「シナリオが外れたら」という怯えから、ALMは始まる。

生保のアセットとライアビリティは、もともと、巨大なリスクを抱えていた。 最大の問題は、期間のミスマッチである。
契約者には、数十年間にわたって決まった「予定利率」を払わなければならない。 ALMはシナリオを描かない。
アセットとライアビリティの期間、性質を揃えておけば、シナリオに依らずにサャを確保することができる。 これが、ALMの考え方である。
フィナンシャル・テクノロジーはリスク管理の技術である。 リスクを管理するということは、本来、ケチくさい考え方だ。
シナリオを描いて、それに賭けた方が、当ったときの儲けは大きい。 80年代後半までの日本の生保は、リスク管理を無視したからこそ、株、土地の膨大な含み益を得たのである。
当時の「セイホ」は、無限と思われる資金力を誇って国際金融市場に君臨していた。 その少しあるいは、もし、「予定利率」が、物価に連動して上下するように定められていたら、家賃は物価の一種であるから、土地を買うことによってリスクを限定できる。
しかし、「予定利率」が固定されているのに土地を買うことは、「物価が上昇する」というシナリオに沿って行動していることになる。

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